概説

本項はアニメを批評する個人趣味ブログです。

深夜アニメ・萌えアニメを中心に、独自の視点で簡潔かつ濃厚なレビューをお届けします。
サイトタイトルは「Anime + Commentary」になります。

映画や文学に比べ、公的な批評活動があまり機能していないアニメ業界に対する警鐘という大義があったりなかったりします。
ごめんなさい。たぶん、ないです。

星1個~10個の十段階評価です。
平均点は星7個になります。
完全なる独断と偏見です。脚本重視(ストーリー・シナリオ・設定等)です。
ただし、明らかに業界に悪影響を与えていると思われる作品(いわゆるクソアニメ)に関しては、マイナスポイントを付けることもございます。

その他、
・ネタバレ上等です。
・敬称略です。
・作品タイトル等の固有名詞はwikipedia準拠です。
・2001年以降に公開された男性向けアニメが対象です。
・現在、放送中の作品は取り扱いません。(再放送は除く)
・評価はあくまで暫定であり、後に変動することがございます。
・転載禁止ではございませんが、その際は出典を書いて下さると助かります。また、管理人が他サイトに書き込むことはございません。
『アウトブレイク・カンパニー』は敵です。
・アフィです。
・ステマじゃないです。
・飽きたら止めます。
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by animentary  at 10:23 |  お知らせ |   |   |  page top ↑

『少女終末旅行』

無粋。

公式サイト
少女終末旅行 - Wikipedia
少女終末旅行とは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2017年秋つくみず著の漫画『少女終末旅行』のテレビアニメ化作品。全十二話。監督は尾崎隆晴。アニメーション制作はWHITE FOX。少女二人が崩壊した都市を旅する終末系ファンタジー。エンディングアニメーションは原作者によるお手製である。すげぇ!

・無粋


 第一話。暗闇の中を走る一台の軍事車両。乗っているのは二人の軍服の少女。「ずっと日の光を見ていない」とぼやくが、画的にはなぜかライトを消しても人物の顔を判別できるほど明るい。すると、前方に目が眩むほどまばゆい出口の光が見える。そこから出ると外は夜空だった。二人はつぶやく。「夜がこんなに明るいなんて」……えっ、どういう演出? 夜の明るさを視聴者に追体験させたいなら、穴倉の暗さを普通に描けばいいだけじゃないの? いくら暗闇に目が慣れているからって、夜空の方を明るくしてどうする。余計なお世話だ。

 こんな感じで、本作の最大の特徴は全ての面において演出が「くどい」ことである。別の言葉で言うと、粋じゃない。同じ終末物の『人類は衰退しました』も相当くどかったが、その比ではない。例えば、第一話のBパート。主人公達は旅の途中で雪に埋もれた兵器の残骸を見つける。そこで彼らは「何で戦争は起きるのだろう?」と話し合う。そして、人間らしさを失わせる戦争を口頭で批判する。いや、それをわざわざ口に出す必要はある? 兵器の残骸を画面に映すだけで、十分に反戦思想は伝わるだろう。全く持って粋じゃない。これに限らず、本作はキャラクターが思ったことや作品のテーマ、隠された謎、物語の結論など、本来視聴者が考えるべきことまで全て台詞でペラペラとしゃべってしまう。語らずして語るという映像芸術の基本が全くできていない。また、BGMもやたらと豪華なコーラス曲が延々と流れていたりして、無駄にエモい。OP曲とED曲に至っては、ポップなアイドルソングだ。内容を考慮するなら、もっと無機質なインダストリアルミュージックとかの方が良かったのではないだろうか。

 第四話。主人公達は古代文明の寺院に辿り着く。そこに残された宗教的な遺物の数々を見て、二人は宗教の意義について深く語り合う。ちょっと待て。彼女達は何かを信仰するということを知らずに育った人間だ。そういった人々は仮に宗教施設と遭遇しても、そもそも宗教とは何かを理解することができないだろう。だったら、「よく分からないけど不思議な気持ち」という感想で留めておくべきではないか。結局、「私はこう思う」という作り手の思想を披露することだけに気が取られ、肝心の物が置き去りになっているのだ。その結果、装飾過多になって演出がゴテゴテするのだとしたら本末転倒である。

・ポストアポカリプス


 タイトルの通り、本作は人類が死滅した後の世界を描いたポストアポカリプス物である。生物がいなくなって荒涼とした土地で必死に生きる人々を描くことで、文明とは何か、生命とは何か、幸福とは何かをみつめ直すことを目的としたジャンルだ。ただ、他の同ジャンルの作品と比べて、本作のそれは非常に分かり難い。その理由は本作特有の一風変わった設定にある。

 明言はされていないが、物語の舞台は間違いなく遠い未来の日本である。未来の日本人は階層構造の巨大な都市を建造し、高度に機械化された文明を謳歌していた。しかし、本作の時代から何百年も前のこと、国家間の大規模な戦争が起こり、互いに大量破壊兵器を使用して滅亡した。その後、生き残った人々が崩壊した都市の中で細々と暮らしていたが、彼らも数年前に愚かな戦争を引き起こして滅亡した。主人公達はその数少ない生き残りの一人である。つまり、この世界は二回もアポカリプスに襲われているのである。そのため、本作と我々視聴者の歴史との間に直接の繋がりがなくなり、感情移入が難しくなる。彼らの話す「昔」とは数年前のことなのか、それとも数百年前のことなのか。彼らが発見した都市の遺構は一体何年前に作られた物なのか。これらを初見で判断するのはほぼ不可能だ。結局のところ、古代文明物とポストアポカリプス物を同時にやろうとしたことで、このような不思議な状態になってしまっている。欲張ると損をするという童話の教えを、身を持って体現している。

 さらに、第六話で明らかになることは、主人公達がこの都市以外の様子を知らないという事実である。つまり、今までいろいろな場所を旅していたかのように見えて、実は一つの街の中をグルグルと彷徨っていただけということだ。本当に巨大な都市なら、そういうこともあり得るだろう。ただ、本作のそれは「階層都市」である。サンドイッチのように都市の基盤が何層にも積み重なっているそうだが、普通に太陽が当たってる場所も多いため、おそらくピラミッド状の構造をしていると思われる。だが、それでは、物理的に関東平野内に収まらないような超巨大都市になってしまうだろう。常人の限られた想像力では、そのビジュアルを上手く自分の中に落とし込むことができない。その結果、彼らがどこで何をやっているのか分かり難いという問題が生じてしまう。あくまでも立体構造にこだわるなら、ピラミッド状ではなくタワー状にすべきだっただろう。

・ストーリー


 主人公二人は、おそらくハイティーンの少女である。悲観論者と楽観論者のコンビという分かり易いキャラ付けがされている。彼女達はどうやら戦災孤児の少年兵だったようだが、戦局の悪化を前にして命からがら戦地から脱出した。その際、お世話になっていた老人がいるらしいのだが、詳細は分からない。まぁ、『未来少年コナン』のおじいのような役割だろう。

 そんな二人の旅の目的だが、ご丁寧に台詞で全部語ってくれる。一つは食料探しだ。人間以外の生物が死に絶えた世界なので、彼女達の食料は専ら某栄養調整食品に酷似したレーションに頼っている。それらは工場で生産されるが、今は施設自体が壊れているので、どうやら全て古代文明時代の残り物らしい。そんな何百年も前の食料を食べることができるのかという疑問が生じるのは当然だが、それは些細なこと、大事なのは数が限られているという点だ。希少品だからこそ、彼女達は食料を探して都市中を歩き回っている。その動機はシンプルに「生きるため」。彼女達にとって、それは唯一の生産的行為である。もっとも、いつか必ず終わりが来る。そう遠くない未来に。

 もう一つの目的は、階層都市の最上階に行くことだ。これは本作の数少ない謎の一つであり、なぜ主人公達が最上階を目指そうと思ったのか、最上階に行くと何があるのかは、何でも台詞で語ってしまう本作にしては珍しく一切描かれない。ただ、気持ちは分かる。生きる理由も目標も持たない主人公達が、とりあえずの目的地として階層都市の一番上を目指そうとする感情は十分に理解できる。言うまでもないことだが、それは宗教的な意味合いを持っている。山を上り、天界に一番近いところで神様に会おうとする巡礼の旅だ。生まれ付き宗教という物に全く触れずに育ってきたがゆえに、彼らの行動が原始宗教的な意味を成す。だからこそ、旅の途中で「宗教とは何か」をペラペラと語って欲しくなかったわけだが……。

 ちなみに、最終盤の展開は、兵器を食べる新種の菌類が登場し、彼らによって人類死滅後の地球が浄化されるという物である。要するに『風の谷のナウシカ』の丸パクリである。それ自体はまぁ別にいいのだが、その直前にある地球の戦争の歴史をビデオライブラリーで振り返るというシークエンスが相変わらずくどい。『風の谷のナウシカ』の映画版で火の七日間を詳細に描いたか? そういうことである。

・テーマ


 本作の作品テーマは何か? 他の作品なら、小一時間は考えなければ適切な回答が見つからない物だが、本作の場合は例の如く、主人公達が台詞で全部語ってくれるので考えるまでもない。それは「絶望と仲良くなる」である。はっきり言って、この作品に「希望」の二文字はない。人類はほとんどが死に絶え、生き残りは数えるばかり。それはつまり、どんなに頑張っても子孫を残すことができないということを意味している。また、それ以前に食料の数が限られており、彼らが天寿を全うするまで在庫が持つことはないだろう。それゆえ、何百日後か、もしくは何十日後かに必ず死が訪れる運命にある。これ以上の絶望はない。そこで、生き残った人々は自分自身の生きた証を残すために、それぞれ何らかの具体的な目標を持って行動していた。ある人は都市の地図を作り、ある人は飛行機作りに没頭した。だが、いずれも劇中で悲惨な結末を迎える。そんな希望のない世界でどう生きるか。それが「絶望と仲良くなる」であり、余計なことを考えずに今のこの時間を大切に生きるということだ。これは遠い未来の出来事だが、現代の我々にも当てはまる点は多い。この不条理な現実の中でより良い人生を過ごすためには。

 ……ということをくどくどと書いてきたが、実際のところ、一から十まで全て劇中で描かれているので、このような拙い評論を読むより本作を視聴した方が何倍も理解が早い。なぜ、そのようなことになっているのか? 結局、本作は私小説ならぬ「私アニメ」のような物だからなのだろう。作者が他の終末物なり思想書なりを見て感じた「感想」を自作品のキャラクターにしゃべらせているだけだ。つまり、物語のスタートは本作にあるのではなく、外部に存在するのである。それ自体は別に悪いことではない。ただ、本作はポストアポカリプスの廃墟探検物なのである。美術スタッフが必死に頑張って都市の廃墟を描き、そのビジュアルを持ってテーマを語ろうとしているのに、キャラクターが作者の考えをベラベラとしゃべってしまっては、やはりその努力は無駄になってしまう。画面を消して台詞を聞いているだけで、作品のほぼ全てが理解できる。ビジュアルに意味のない廃墟探検物って何なのだろう。

・総論


 日本のアニメってこの手の作品は得意中の得意だったはずなのに、知らない間に随分と退化した物だなぁ。

星:☆☆☆☆(4個)
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by animentary  at 10:03 |  ☆☆☆☆ |   |   |  page top ↑
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