概説

本項はアニメを批評する個人趣味ブログです。

深夜アニメ・萌えアニメを中心に、独自の視点で簡潔かつ濃厚なレビューをお届けします。
サイトタイトルは「Anime + Commentary」になります。

映画や文学に比べ、公的な批評活動があまり機能していないアニメ業界に対する警鐘という大義があったりなかったりします。
ごめんなさい。たぶん、ないです。

星1個~10個の十段階評価です。
平均点は星7個になります。
完全なる独断と偏見です。脚本重視(ストーリー・シナリオ・設定等)です。
ただし、明らかに業界に悪影響を与えていると思われる作品(いわゆるクソアニメ)に関しては、マイナスポイントを付けることもございます。

その他、
・ネタバレ上等です。
・敬称略です。
・作品タイトル等の固有名詞はwikipedia準拠です。
・2001年以降に公開された男性向けアニメが対象です。
・現在、放送中の作品は取り扱いません。(再放送は除く)
・評価はあくまで暫定であり、後に変動することがございます。
『アウトブレイク・カンパニー』は敵です。
・アフィです。
・ステマじゃないです。
・飽きたら止めます。
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『STEINS;GATE』

サイエンス・フィクション。

公式サイト
STEINS;GATE (アニメ) - Wikipedia
STEINS;GATEとは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2011年春5pb.Nitroplus制作のテレビゲーム『STEINS;GATE』のテレビアニメ化作品。全二十四話。監督は佐藤卓哉浜崎博嗣。アニメーション制作はWHITE FOX。未来ガジェット研究所の面々が、悲劇的な未来を変えるためにタイムマシンで過去を改変するSFアドベンチャー。「シュタインズ・ゲート」とは、主人公が独自に考えた造語であって、その言葉自体に意味はない。なお、劇中に登場する「2000年に現れたジョン・タイター」は、実在の人物である。

・SF


 SF(サイエンス・フィクション)は奇妙なジャンルである。なぜなら、より科学的であることが良作の条件とされているのに、完全に現実の物理法則に忠実だと、心躍り上がるような「少し不思議」な物語が発生しないからである。そのため、どこかで意図的に科学のレールから外れる必要がある。しかし、あまりにもあからさまに外れてしまうと視聴者が興醒めしてしまうため、分からないようにこっそりとやらなければならない。その工程はとてもじゃないが科学的とは言い難い。

 実のところ、本作はこのレールの外し方があまり上手くない。劇中に登場するタイムマシンもタイムリープマシンも、ある程度は科学的知識に基づいているとは言え、素人の図画工作レベルである。主人公は自称マッドサイエンティストだが、何の専門家なのか分からない。ヒロインは脳科学者で、オタク仲間はプログラマーでありながら、なぜか電子工学にも通じている。また、謎の研究組織が科学技術を独占し、世界を陰で支配している。この科学者なら何でもでき、悪の秘密結社が世界征服を企んでいるという設定は、子供向け特撮物でよく見られるお約束である。つまり、本作のベースになっているのは、SFではなく空想科学である。

 では、なぜ、本作が名作SFだと言われているのかと言うと、結局のところ、ストーリー構成がずば抜けて優れているからである。それも、「起承転結」という古典中の古典の作劇テクニックが極めて効果的に働いているからだ。具体的に言うと、起(第一話~第六話)では、謎という謎をこれでもかと提示して、視聴者の耳目を集める。その過程において、個性的な登場人物が出揃い、タイムマシンが完成する。承(第七話~第十二話)では、そのタイムマシンの能力を皆で検証しつつ、事件の核心に迫っていく。その結果、主人公達はある大きな事件に巻き込まれる。転(第十三話~第二十話)では、その事件を解決するために主人公がタイムリープを何度も行い、失敗を繰り返しながらも、徐々に謎を解き明かしていく。結(第二十一話~第二十四話)では、その事件は解決したものの、さらなる大きな事件が発生し、物語は最初の伏線を回収しながら一つに収束する。この概要からも分かる通り、本作は2クールのメリットを最大限に生かし、トライ&エラーを繰り返しながら、謎を一つずつ丁寧に処理していって、段々と真実に近付いていくという形式を取っている。その過程が実に「科学的」なのだ。つまり、本作は設定の科学考証の弱さをストーリーで補っているのである。当然、ストーリー構成は文系に属するわけで、文系が理系を支えるという非常に珍しい形を取っているのが、本作の面白い点である。

・世界線


 フィクションにおけるタイムパラドックスの取り扱い方については、『僕だけがいない街』の項目で簡単にまとめた。詳しくはそちらを読んでもらうとして、本作が採用しているのは、過去を改変してタイムパラドックスが発生した際、その時間を境にしてパラレルワールドが生成されるという考え方である。本作はそれを「世界線」と称している。この方式はストーリーに矛盾を起こし難いので、作り手からすると非常に便利で都合がいい。ただし、この方式でしか発生しない問題点も幾つか存在するので、取り扱いに十分な注意が必要になるのは、他と同様である。

 最も気を付けなければならない点は、たとえ過去を改変してパラレルワールドが生まれたとしても、元の世界線の人々の時間は未来永劫続いていくということである。例えば、ある世界線で起こった出来事が悲劇的な結末を迎えたため、それを変えるために過去に干渉したとする。その結果、世界線を跨いでも記憶を保持できる特殊能力者の主人公だけは、上手く別の世界線へ移動することができるかもしれないが、他の人々はその悲劇的な世界線に取り残されたまま人生が続いていくのである。いや、正確には主人公も例外ではない。理想的なエンディングに辿り着けるのは、主人公の「記憶」だけだ。つまり、世界線を変えるという行為は、これ以上ないぐらい自己中心的で、極めて自己満足的な行為だということである。本作は劇中で何度も過去を変え、結果的に幾つもの世界線が派生しているが、はたしてそれは倫理的にどうなのだろうか。生命を生み出すとまで言うと大袈裟だが、それに類する行為を行っているのは事実なので、当然、創造主としての義務と責任が生じるだろう。

 逆の場合も同じことが言える。過去を変えるために主人公がタイムリープ(記憶を過去の自分に飛ばすこと)をしようとし、それに対してヒロイン達が涙で別れを告げるというシーンが度々登場する。感動的なシーンである。ただ、冷静に考えると、その世界線の主人公はそのまま同じ場所に残るはずだ。そうなると、タイムリープ後に非常に気まずい空気が流れるだろう。完全にコントである。もっとも、世界線が変わるというのはあくまで劇中のキャラクターの考えであって、実際にそうだという確証はない。事実、「歴史を改変すると元の世界線がどうなるか分からない」といった発言もあるし、主人公以外の人々も世界線を跨いで同じ記憶を共有しているかのような描写もある。もしかすると、ただ時間がループしているだけなのかもしれない。結局、時間とはそれほど曖昧な物であり、現代科学では説明し切れないというのが本作の結論になる。

・欠点


 上述した通り、本作は非常に完成度の高い優れた作品である。作劇の基本に忠実なため、設定にもストーリーにも大きな穴はない。美術・音楽・演出はいずれも高品質。キャラクター造形も深く、ギャグにも切れがある。それゆえ、アニメ史の残る傑作という評価は決して大袈裟ではない。

 ただ、あえて欠点を挙げるとするなら、第十三話、つまり、起承転結で言うところの「転」以降の展開がやや強引なことである。幼馴染みが敵の組織に殺されてしまい、彼女を助けるために主人公がタイムリープを何度も繰り返して過去を改変するというストーリーなのだが、その道筋に幾許かの違和感を覚える。幼馴染みを助けるためには世界線を大きく変える必要があり、そのために今まで改変してきた歴史を一つずつ元に戻すという展開が、非常にゲーム的で論理性に欠ける。歴史を戻す度に死亡日が一日延びるのも根拠がない。幼馴染みはなかなか生き残らないのに、メイドの父親は簡単に生き返るという矛盾。研究所の大家が実は敵の幹部だったという奇跡的な偶然。また、悪の秘密組織の陰謀を阻止するためには、最初に主人公が送ったメールを秘密組織のデータベースから消去しなければならないという展開は正直厳しい。そのためには、三十年前に製造された古いパソコンが必要だというギミックはもっと厳しい。これまでずっと過去を改変していたのに、急に現代の話になる。なぜ、現代を改変すると過去まで変わるのか? 主人公達と秘密組織を何とかして結び付けたいのは分かるが、もう少しスマートな方法があったのではないだろうか。

 第二十三話以降のラストエピソードは、さらに強引さを増す。未来からやってきた本物のタイムマシンを駆使して、過去に殺されたヒロインを救うというストーリーなのだが、非常に蛇足感が強い。これまで『バタフライ・エフェクト』的な細やかな因果の繋がりが売りだったのに、突然『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な世界線などどこ吹く風の直球勝負のタイムトラベル物になる。二回も過去に行っているのに、なぜ前に過去へ行った自分と出会わないのか。ヒロインが生き残っているのに、なぜ秘密組織が世界を支配する未来に繋がらないのか。世界線が変わっているのに、なぜ過去の主人公は同じ三週間の歴史を繰り返すのか。等々、単純にタイムトラベル物として見ても疑問点が多く、質が悪い。安易にお涙頂戴に走らず、ちゃんとハッピーエンドで終わらせているのは好印象だが、やはり、ここももう少しシナリオのブラッシュアップが必要だっただろう。

・テーマ


 本作のメインテーマは、もちろん「科学技術への警鐘」である。便利な科学技術に傾倒し過ぎると必ず手痛いしっぺ返しを食らうという、近未来SFでよく扱われるテーマだ。だが、本作にはそれとは別にもう一つの裏テーマがあり、より作品の質を高めることに貢献している。それが「主人公の心の成長」である。

 本作の主人公は十八歳の大学一年生。自称マッドサイエンティストの邪気眼持ちの現役中二病患者である。その核となる妄想は、「世界はシュタインズゲートの選択によって支配されている」。中学生ならともかく、大学生でこれはかなり痛々しい。なぜ、彼はこの歳まで中二病を引きずっているのか? 半分は幼馴染みのためだが、もう半分は自分自身の寂しさを埋めるためである。身近に理解者がいなかった彼は、「未来ガジェット研究所」なる団体を作って、自分の殻に閉じ籠もっていた。かなり意図的に痛々しい人物を演じることで、本当の自分に触れられるのを防いでいた訳である。そんな彼は実に人間らしく、我々の代弁者としての資格を十分に有している。

 ところが、ふとした偶然からタイムマシンを発明してしまうと、彼の妄想が現実の物になってしまう。世界は本当に秘密組織に支配されており、主人公は特殊能力を持っていて、未来から来たタイムトラベラーに「救世主になって欲しい」と頼まれる。それに対して、彼の取った行動は逃避だった。己の弱さを知り、救世主になんてなれないと逃げ出す彼の姿は、我々の心を打つ。さらに、敵の組織に幼馴染みが殺されてしまうと、彼は「シュタインズゲートの選択なんてない」と今までの自分を否定する。この時、彼は初めて残酷な現実と正対する。同時に、孤独だと思っていた自分の周囲には大勢の仲間がいて、いつも彼を助けてくれていることを知る。そして、彼は人として大きく成長する。

 ラストエピソードでは、彼の中二心がヒロインを助けるために必要であることが判明し、一度は封印した妄想を再び解き放つ。一見すると、昔とやっていることは同じだが、中身は全く違う。ネガティブな逃避ではなく、ポジティブな逃避。すなわち、彼は物語を通じて、一つ上の次元に上がったということである。ここで話を冒頭に戻すと、中二妄想は科学のレールから外れた物である。そういう意味では、本作は科学的な物と非科学的な物が激しくせめぎ合った結果、程良いバランスに収まった物語だと言える。それゆえ、本作は非常に優れたSF(サイエンス・フィクション)なのである。

・総論


 もちろん、細かな脚本のミスは多いのだが、とにかく見ていて純粋に面白い作品。いつも言っていることだが、名作と呼ばれるアニメほど作劇の基本に対して忠実で謙虚。

星:☆☆☆☆☆☆☆☆☆(9個)
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by animentary  at 10:48 |  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ |   |   |  page top ↑
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