『AKB0048 next stage』

銃なんか捨ててかかって来い!

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AKB0048 - Wikipedia
AKB0048とは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2013年。テレビアニメ『AKB0048』の続編作品。全十三話。総監督は河森正治。監督は平池芳正。アニメーション制作はサテライト。続編というより、分割2クールの後半という位置付けなので、話数は第十四話からスタートする。物語的には、ランカスターでのゲリラライブが終了し、主人公が徐々にトップアイドルとしての才能に目覚め始めたところである。

・設定


 前作で物議を醸したトンデモ設定は、直接の続編である本作にも受け継がれている。細かい点は第一期の項目を見てもらうとして、要は「アイドル自身が戦闘を行う」という無茶苦茶な設定だ。当然、そのような中心軸の歪みは物語にも悪影響を与え、結果的に様々な不具合が発生している。例えば、主人公達がバラエティ番組に出演して、バンジージャンプに挑戦するというエピソードがある。アイドル的にバンジージャンプを怖がるのはお約束だが、彼女達は常に実弾の飛び交う戦場で空中戦をしているのである。どう考えても、そちらの方が怖いだろう。結局、普段からアイドルらしくないことをやらせているため、アイドルらしい話が描けないという小学生でも分かるような馬鹿馬鹿しい問題が生じてしまっている。
 ところが、第二十三話(第二期第十話)で、今までの根底を覆すような新たな設定が追加される。アイドルの歌や踊りによって、キララと呼ばれる生物が活性化するという設定は前作からあった。だが、その回で、キララの元となるデュアリズムという鉱物にも影響を与えることが明らかになる。デュアリズムは、劇中の乗り物の動力源である「キララドライブ」に広く使われており、それが活性化すると機能不全に陥ってしまう。と言うことは、要するに「歌や踊りによって敵の兵器を無力化することができる」ということだ。最初からそういう設定にしろよ! いや、思わず叫んでしまったが、この設定を上手く使えば、わざわざアイドル達が武器を持ち出す必要はなかっただろう。なぜ、企画段階でこうしなかったのか。途中で気付いたのならただのアホだし、最初からこういう予定だったなら、それは明らかに間違いだと言わざるを得ない。なぜなら、この時点ですでに彼女達の戦闘能力はコマンドー級なのだから。

・総選挙


 本作は、アイドルグループのAKB48をフィーチャーしたSFアニメである。そのため、現実のAKB48における様々なルールやお約束をストーリーに取り入れているのだが、本作はその中でも前作で入れられなかった二つの要素をメインに据えている。それが総選挙とセンターノヴァである。
 AKB48と言えば、ファンの投票によってメンバー間の順位を決める選抜総選挙が目玉イベントの一つだが、アニメの劇中では長らく行われていなかった。その理由は、選挙で一位に選ばれ、センターノヴァとなったメンバーが突然行方不明になるという不可解な事件が相次いだからである。しかし、支配人はこの度、総選挙の復活を決定する。名目上の目的はAKB0048の価値を上げることだが、真の目的はセンターノヴァ消失の謎を解き明かし、いなくなった十三代目前田敦子を助け出すこと。つまり、誰かを犠牲にしてでも、真実の解明を優先するということだ。非情な話だが、元々そういう世界観なので今更驚きはない。
 センターノヴァに関することは後述するとして、ここでは総選挙その物を見て行きたい。第一期のテーマは、普通の女の子がアイドルになるという変身物語だった。一方、第二期では総選挙という要素を付け加えることによって、そこからさらに上を目指すか否かという物語になる。仲間は皆、ライバルになり、殺伐とした空気がメンバー間に流れる。全力でセンターを目指す者、怖気付く者、冷めている者、仲間を応援する者。そんな中、主人公は仲間同士で争うことに当初は抵抗を覚えていたが、総選挙での華やかな舞台を見て、自分もセンターを目指すことを決意する。設定を生かした良い物語ではあるのだが、現実の総選挙自体がアンチAKBから批判されているのが現状なので、どうにも微妙な空気になる。やはり、AKBアニメという企画自体に無理があるんじゃないかと多くの人が感じるだろう。
 ちなみに、総選挙と平行して、研究生の岸田美森の襲名も行われる。襲名したのは八代目篠田麻里子。CVはAKB48の佐藤すみれ。同じAKBメンバーの役を演じる気持ちというのは、一体どうなのだろうか。

・センターノヴァ


 勘違いされ易いのだが、選挙で一位になった人はただのセンターであり、そこからさらに昇り詰めると真のセンターノヴァになる。それには様々な条件が必要となるが、一言で言うとアイドルとしての輝きが飛び抜けて強い人だ。そして、消えた人はどこへ行ったかと言うと、この手の精神ネタでは御馴染みの「集合的無意識」である。目的は希望を失った人々の心に無意識の領域から歌を届けるため。あの……もうさ、こういったユング心理学の安売りはやめない? 明らかに定義が間違ってるし。同じネタを使い回す内に、どんどんチープになっていることを早く理解して欲しい。
 一方、センターノヴァ現象が発生した時、それに呼応してキララが巨大なエネルギーを発するため、その効果に注目したのが主人公のライバルキャラの父親であるゾディアック社社長である。彼は本作における黒幕のような存在であり、裏でDES軍を操ってAKB0048を壊滅させようと暗躍する傍ら、娘をセンターノヴァに仕立て上げ、キララのエネルギーを掌握しようとする。しかし、彼の野望は何者かによる暗殺という形で終焉を迎える。ただ、ここの一連の描写はちょっと分かり難い。物語的に考えると、社長と娘が和解したことで不要と判断したDES軍に殺されたと見るのが正しいはずだが、詳しい説明描写がないので想像で補うしかない。これは明白な脚本上のミスだろう。こういったストーリーにするなら、ちゃんと事前に「黒幕の黒幕」を出しておかなければならないはずだ。でないと、ラスボスが不在になり、最終回で誰と戦っているのか分からなくなるという困った状況が発生してしまう。

・最終回


 話は前後するが、第二十一話(第二期第八話)でゾディアック社社長の命により、AKB0048の本拠地であるアキバスターがDES軍の襲撃を受ける。何とか脱出した主人公達は、アキバスターを取り戻すべくゲリラライブを敢行する。それが最終回のストーリーである。しかし、アキバスターの住民は、DES軍のプロパガンダによりAKB0048に対する憎しみを募らせており、歌う彼女達に罵声を浴びせる。ファンからの「帰れコール」を浴びて動揺するAKB0048。しかし、主人公だけはそれに敢然と立ち向かう。その姿には、かつての伝説のセンターノヴァ・前田敦子(おそらく、初代だと思うが説明なし)の姿が重なっていた。
 その後、芸能を愛する心を取り戻したファンの力を得て、ライブをやめさせようとするDES軍との戦闘が開始されるのだが、そこで父との別離を経験したライバルキャラが成長した姿を見せる。それは、武力で敵に立ち向かうのではなく、向かってくる敵に歌を聞かせること。その行動に主人公も応える。「そうだよね。私達に必要なのは武器なんかじゃない。私達は歌う。愛を届ける!」と。第一期の頃からそうしろと言い続けてきたのだが、最後の最後でようやく気付いたようだ。良かった良かった。それはともかく、主人公とライバルキャラを中心としたAKB0048は、歌でDES軍の艦隊に対抗する。結果、キララドライブが破壊されて、敵は撤退を余儀なくされる。そして、アキバスターは元の姿を取り戻す。
 脚本的には伏線も展開もしっかりとしていて申し分ない。ただ、「今まで武力で戦っていた人が、歌の持つ本当の力に気付く」というストーリーをアイドル物に当てはめるのは、やはり無理がある。いや、あり過ぎる。お前ら、そんなことも分からずにアイドルをやっていたのかよという話だ。そんなアイドルグループが宇宙規模で人気になるはずがないと思うのだが、未来のことは誰にも分からない。

・総論


 相変わらず、面白いことは面白い。ハードルの高さはチョモランマ級だが。とりあえず、話としては良き方向に収束してくれて良かった。第一期のまま終わっていたら、どうしてやろうかと思っていたところだ。

星:★(-1個)
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テーマ: アニメレビュー -  ジャンル: アニメ・コミック
by animentary  at 21:49 |   |   |   |  page top ↑
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