『persona4 the ANIMATION』

抜群の面白さ。

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ペルソナ4 - Wikipedia
Persona4 the Animationとは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2011年。アトラス制作のPS2ゲーム『ペルソナ4』のテレビアニメ化作品。全二十六話。監督は岸誠二。アニメーション制作はAIC ASTA。山に囲まれた静かな街を突如襲った連続猟奇殺人事件に、高校生達が心の力「ペルソナ」を用いて立ち向かう学園サスペンス。事件の真相が描かれる第二十六話をDVD・BDにのみ収録するというアニプレックス商法に批判が集まった。

・ゲームのアニメ化


 本作は「ゲームの雰囲気をアニメで再現する」ということに強いこだわりを持って制作された作品である。そのため、ゲーム内で用いられた様々なエフェクト(戦闘時のカットイン演出、記号による心理表現、カレンダーによる場面転換など)をそのまま移植するといった新たな取り組みが行われている。結論から先に言うと、その試み自体は成功したと言えよう。視聴者が能動的に係れないアニメでありながら、まるで自分自身でプレイしているかのような臨場感を生んでおり、ゲーム原作アニメの新しい形を提供している。もちろん、メディアの違う物を完璧に再現することは不可能なのだが、少なくとも両者の間に違和感はない。心配された主人公のキャラクター像(原作ゲームの主人公は選択肢以外は無言で名前も任意)も、どこかとぼけたクールキャラにすることで、原作ファンもわだかまりなく楽しめるように工夫されている。ただし、その成功は、逆に「アニメである必要性」という疑問を生むことになる。尺の都合上、ダンジョン探索パートがばっさりとカットされていることなども含めて、どうしても「ゲームのダイジェスト映像」という感が否めないのだ。つまり、高い購入費を払わずともゲームをプレイしたような気になれるネット上の違法実況動画のような存在になってしまい、ゲーム本来の「成長の過程を楽しむ面白さ」を失っているのが、本作の最大の難点である。
 単純なアニメーションの出来から言うと、ゲームの一連の長編ストーリーを強引に全二十六話に当てはめているため、ブツ切り感全開のひどく残念な構成と化している。各エピソードの起承転結が乏しく、中途半端な場面で回を跨ぎ、一番の盛り上がりがパートの前半に来てしまっていることも多い。これは、アニメオリジナルの『ペルソナ ~トリニティ・ソウル~』では絶対に考えられなかったことだ。やはり、テレビアニメである以上、一話三十分を一単位とし、それらを連続させることで話を進めなければならない。そういった意味では、アニメとしてもいろいろと物足りなさを覚えるのも事実である。

・ミステリー


 何もないのが取り得の田舎町で凄惨な連続猟奇殺人事件が発生した。鍵を握るのは、犯行前に被害者の姿が映る謎の「マヨナカテレビ」。犯人は一体何者か? このような事態を生み出した元凶は? 家族の都合で単身この街に転校してきた高校生の主人公は、事件を通じて知り合った仲間と共にその謎に挑戦する……と、これが本作の趣旨である。学園青春ドラマとして見ると良くも悪くもオーソドックス。だが、視聴者が登場人物と一緒に謎を解き明かすミステリードラマとして見ると、残念ながら少々厳しいところがある。全体的に謎・ヒントの見せ方や伏線の張り方が拙く、犯行の動機も分かり難い。特に、犯人のミスリードを三回(真エンドを含めると四回)も用いているのは、さすがにどうかと言わざるを得ない。もちろん、これも元々がゲーム用に作られたシナリオだからであり、ゲームだと犯人を間違える=バッドエンドとして処理できるため、ある意味、意図的・必然的な二転三転ストーリーと言えるが、アニメだと稚拙さと不快感ばかりが目立つ結果になってしまっている。
 ちなみに、一見すると社会を震撼させる大事件が起こっているように見えるが、劇中における死者の数はわずか三人で、その内、真犯人が直接手を下したのは二人だけである。それが多いか少ないかは判断が分かれるところだが、話のスケールとしては間違いなく小さい。それならそれで、物語の終盤にテレビの中の世界から漏れ始めた「霧」の方をもっと問題にすべきではないだろうか。こちらは放っておくと本気で世界崩壊である。不気味な白い霧が辺りを覆い、不安と狂気が静かな田舎町を蝕む。そんなアメリカンモダンホラー的なダークサイドの雰囲気をもっと引き出さないと話が締まらない。娯楽作品である以上、多少の現実感は無視してでも、視聴者の気持ちを程良く煽り立てるスケールの誇張がもっと欲しいところだ。

・問題点


 最大の問題点は間違いなく菜々子だ。主人公の従兄弟である彼女は、物語の後半で事件に巻き込まれて意識不明の重体になる。小学一年生ゆえにテレビの中の世界に心と体が耐えられなかったという理屈は分かるのだが、一度回復したのにまた再発し、心臓が止まったのにまた復活するという訳の分からない展開は何なのだ。もちろん、論理的な説明は一切ない。何より、話の山が中途半端な時期に訪れるため、それ以降の展開が一向に盛り上がらないという致命的な欠陥がある。殺すなら殺す。殺さないなら危篤状態を引っ張り、最後の最後で目を覚まして感動を呼ぶ。それがドラマ作りの基本だろう。
 もう一つの問題点は作品テーマだ。本作は「友情・絆・助け合い」がテーマであり、もちろん、それ自体は何の問題もない素晴らしいことである。ただ、ゲームだと主人公=自分、味方=仲間だからいいのだが、アニメでそれをやると特定の視聴者が置いてけぼりになる。なぜなら、視聴者が全員「リア充」とは限らず、実際に学校や職場などで孤独を味わっている人もいるからだ。そういう人達に向かって「絆は力」と言っても皮肉にしかならず、むしろ、孤独を謳う真犯人側に感情移入する人も多いだろう。実際、真犯人はそれなりの人気を保っており、テーマに反して主人公側を叩く者も少なからずいる。この辺りの矛盾は、前の学校における主人公の生活を描くことで解消できる。つまり、孤立した状態から徐々に仲間を増やしていく「成長物語」にすることで、主人公の言葉に説得力を持たせるのである。そうすれば、最終決戦で真犯人側に肩入れする者もいなくなるだろう。だが、本作はその成長要素を「パラメータ」という斬新過ぎる演出で描いているため、視聴者にはいまいち伝わり難くなっている。もちろん、映像的には全く評価できない。(※真エンドでは、かつて主人公が孤独に苦しんでいた様子が示唆されている)

・良点


 以上、先に問題点を上げたのは、それ以外のあらゆる要素が抜群に面白いからである。さすが、ゲーム原作と言うべきエンターテインメント性は、アニメ業界も見習うべき部分が多々あるだろう。個性的な仲間達と過ごす学校生活や各種イベント、事件の捜査は実に楽しい。原作におけるコミュイベントを幕間エピソードに昇華した脚本も見事だ。そして、本作の目玉であるペルソナを用いた戦闘シーンは、『ペルソナ ~トリニティ・ソウル~』では絶対に味わえなかった爽快感がある。アトラスゲームで御馴染みの仲魔が多数登場するのもファンには堪らない演出だろう。ただ、高レベル悪魔の登場が少し早過ぎる気がしないでもないが。
 一方、ただ楽しいだけだと中身の薄い物語になってしまうが、本作は登場人物が自分の内面に向き合わざるを得ないストーリーになっているため、ちゃんと作品としてのバランスが取れている。特に、第十二話では主人公の心の内を描くという原作ゲームでは絶対にあり得ない展開になっている。なぜなら、ゲームの主人公はあくまでプレイヤーの分身であるため、選択肢以外では一言もしゃべらない無口な男だからだ。本作の上手いところは、その状態を逆手に取り、自分は事件が解決したら友達にも相手にされない「空っぽな存在」なのではないかと恐れているという人格設定にしていることである。この「ゲームの主人公」が共通して抱える不安をきっちりと描写することで、メインテーマたる「絆の力」を補強する効果を生んでいる。上述の通り、一歩間違えればただの実況動画になりかねない中、この第十二話が非常に大きな存在感を放っている。

・音響


 本作を語るにおいて、忘れてはならない点がもう一つある。それが音楽だ。アトラス制作のゲームは、目黒将司が中心になって作られる上質のBGMが大きなセールスポイントになっている。特に、ギターサウンドと女性ボーカルを基調にした戦闘曲は高い評価を受けている。そのため、本作は原作ゲームのBGMを流用しつつ、同作曲家による新曲を加えるという方式で制作され、原作の雰囲気の再現に大きな役割を担っている。上記の戦闘曲も、ピンチからの逆転を演出する際に効果的に使われ、視聴者にこの上もないカタルシスをもたらしている。また、それはOP曲・ED曲も同様で、中でも後期OP曲の『key plus words』は出色の出来だ。ただ、釘宮理恵の歌う『True Story』は、『ちびまる子ちゃん』ED曲の『走れ正直者』にしか聴こえないが。
 加えて、基本的にCVも原作から引き継ぎだが、いわゆる中堅声優と呼ばれる層が中心なので、全体的な演技のレベルは高い。普段、深夜アニメで若手声優の初々しい演技に耳が慣れている分、その技術力の違いに驚かされる。第二十三話などは声優の演技力だけで持っているような回だ。これはゲームとアニメの大きな相違点の一つである。つまり、アニメはギャラ・話題性・事務所の力関係などで若手声優を起用せざるを得ない面があるが、ゲームはそういった大人の事情が考慮されないため、純粋に演技力のある人気声優がキャスティングされるのである。結果、ゲームのアニメ化は他のアニメに比べてCVの質が高くなる傾向がある。作品のクォリティとは、こういった細かい要素の積み重ねで醸成される物である。

・総論


 非常に評価が難しい。作品の完成度は確実に『ペルソナ ~トリニティ・ソウル~』の方が上だ。しかし、本作はアニメーションとしての抜群の面白さを誇っている。足して二で割った作品が理想なのだが、世の中はなかなか上手く行かないようだ。

星:☆☆☆☆☆☆☆(7個)
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テーマ: アニメレビュー -  ジャンル: アニメ・コミック
by animentary  at 22:27 |  ☆☆☆☆☆☆☆ |   |   |  page top ↑
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