『ストライクウィッチーズ2』

続・変態飛行。

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ストライクウィッチーズ - Wikipedia
ストライクウィッチーズ2とは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2010年。テレビアニメ『ストライクウィッチーズ』の続編。全十二話。監督は高村和宏。アニメーション制作はAICスピリッツ。前作を制作したGONZOがいろいろあって事業縮小したため、元請けとなる制作会社が交代している。ただし、監督含む制作スタッフのほとんどは続投しており、内容的な変更点はない。

・続ミリタリー描写


 前作ではお遊びレベルだったミリタリー描写は、本作では多少ましになっている。その理由として、本作の主人公が所属する部隊が、突然、復活したネウロイの襲撃により全滅した部隊を引き継いで急遽編成された物であり、全般的に「ゲリラ戦」の様相を呈していることが挙げられる。そのため、前線基地を設営するところから物語が始まり、補給や人員補充などの戦争らしい要素もしっかりと描かれている。前作のようなあらゆる施設・バックアップが揃ったパラダイスが舞台でなくなったことで、何事も自分達だけでやらねばならず、遊んでいる暇がないということだ。何より、諸悪の根源だった一週間ルール(敵ネウロイは一週間ごとに活動する)が廃止されたことで、敵がいつ襲ってくるか分からないという緊迫感が増加し、物語に張りを与えている。また、彼女達が守るべき街をちゃんと劇中に登場させたことも、その空気作りに一役買っている。
 ただし、基地が整備され、戦局が落ち着くストーリー後半は、前作のようなオチャラケムードが再び復活している。部隊総出で海水浴に乗り出したり、味方同士で撃墜数を賭けて決闘したり。ある意味、わざと戦場で感覚が麻痺していく様子を描いているのではないかと勘繰ってしまうぐらいだ。よって、本作はまだまだ浅薄な萌えアニメの枠内から脱することはできていない。

・ウィッチ


 二度の戦いを経て、ストライクウィッチーズの戦死者数は0、負傷者にしても数えるばかり、ストライカーユニットの破損も経度である。一方、ネウロイ側の被害は数百~数千。はっきり言って、これは圧倒的な戦力差である。実際、大型のネウロイでも数名のウィッチで殲滅することができ、小型のネウロイならそれこそ虫けら同然に駆逐することができる。確かに、ウィッチには魔法力の限界から来る活動時間制限と絶対的な人材不足が存在し、対するネウロイは無限の補給力を持っているが、それでも、この歪なパワーバランスは戦争が成り立たないレベルだ。これでは、力を合わせて強敵に立ち向かうという少年漫画風展開は作り難いし、新型ユニットが配備されたところでその真価を発揮できる敵もおらず、戦争アニメ的にひどくつまらない物になっている。何より、敵が弱過ぎることでウィッチ自身の気分が弛緩し、戦闘や死に対する恐怖心がなくなって、戦争がただのゲームと化しているのが厳しい。「苦戦」するからこそ勝利した時の喜びが大きいのだ、とは釈迦に説法か。
 しかし、これだけ強いと、人類にとっての最大の敵はネウロイではなくウィッチになる。今はネウロイという共通の敵がいるため、ウィッチを手厚く保護しているが、戦争が終結した瞬間、彼女達に対する弾圧が始まるだろう。その後に起こる物は、ウィッチと人類とネウロイの三つ巴の争いだ。そうなって初めて、本作が本当の意味で評価されるべき良アニメになる。おそらく、このアニメが4クールも続けば、そういう展開になるのだろうが、今のところその予定はなさそうだ。映画があったとは言え、何もかもが中途半端でモヤモヤが残る。

・反攻作戦


 最終回の直前になって、ようやく対ネウロイの反攻作戦が立案される。それはネウロイ化した戦艦大和を中心とした艦隊による一斉攻撃で、ウィッチーズはその護衛に回るという物だった。敗北は即全滅・撤退を意味する総力戦である。確かに、ウィッチの攻撃力は凄まじい物があるが、対要塞戦となると勝手が違う。事実、前作のネウロイの本拠地を倒したのはウィッチーズではない。(ただし、第一話のナレーションを聞く限り、戦意高揚のためにウィッチーズの戦果だと喧伝されている節がある)
 だが、その作戦に対して、ウィッチーズ達は反発する。自分達が部隊の中心になるべきだと。今まで若い女性の身で延々と防衛戦をやらされてきたのである。ネウロイへの復讐心や軍上層部への反発心も分からないではないが、普通に考えると「もう戦わなくていい」というほっとする気持ちの方が強いはずだ。彼女達に死の恐怖はないのか。要するに、それまでの戦いが楽勝過ぎて増長しているわけである。「ウィッチに不可能はありません」と豪語する指揮官の台詞など、その最たる物だ。が、実際に作戦が始まると、圧倒的な敵の数の前にすぐに魔力切れを起こして戦線離脱してしまう。まぁ、そんな物だろう。そもそも、最終回まで敵陣の詳細が分からないというシナリオに問題があるのだが、前作に引き続き、彼女達の油断と調子に乗ったピエロっぷりだけがクローズアップされるという酷い展開になっている。

・最終回


 最終決戦が始まり、ヴェネツィア上空に浮かぶ敵本陣は、ネウロイ化した戦艦大和の特攻によって消滅する。しかし、今度はその大和自身がネウロイに取り込まれ、味方に対して牙を向くというどこかで見た展開が続く。まさか、二期続けて同じネタを使い回すとは誰も思うまい。この人類最大のピンチを防ぐため、魔力を使い果たしたはずのウィッチ達が大空を飛ぶ。飛ぶ・飛べないはコツもあるのだろうが、それ以外のあらゆる生命維持に魔力を使っているという設定だったはずだが。そして、主人公は全ての魔法力を振り絞ってネウロイのコアを破壊する。その代償に、彼女はウィッチとしての力を失ってしまう。魔法力とは貯金みたいな物なのか? まず、監督は作戦や軍事について語る前に、この世界における「魔法」とは何かを説明して欲しい。
 このように、最終回は基本的にグダグダ脚本である。制作者の頭の中では話が繋がっているのだろうが、そこへ至る伏線が根本的に欠けているため、「全ての状況を台詞で説明する」というありがちなミスが起こっている。なぜ、大和の魔導ダイナモが停止し、なぜ、遠隔操作ができなくなり、なぜ、魔力を注入すると再起動できるのか、その辺りに納得の行く科学考証はない。結局、よく分からない点は「魔法」、謎のパワーは「気持ち」で全部説明できるのだから、便利な物だ。
 ところで、前作で問題提起したはずの「人型ネウロイ」の話はどこに行ってしまったのだろうか。ネウロイは敵なのか味方なのか、いや、それ以前に「ネウロイとは何か?」が本作のメインテーマだと思っていたが、どうやら早とちりだったらしい。そう言えば、主人公の父親は最後まで謎の人物Xだった。はっきり言って、第二期は何のために存在するのかすらよく分からない不思議なシリーズである。

・総論


 前作の問題点を踏まえて設定を整理し直した結果、何とか大人の鑑賞に耐えられる作品にはなっている。ただ、アニメーションとしての評価は上がっていても、中身は第一期の焼き直しのため、存在価値という意味では明らかに下がっている。一体、何期まで行けば、本作は真っ当な作品になるのだろうか。

星:☆☆☆☆(4個)
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テーマ: アニメレビュー -  ジャンル: アニメ・コミック
by animentary  at 22:01 |  ☆☆☆☆ |   |   |  page top ↑
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