『錬金3級 まじかる?ぽか~ん』

ふつー。

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錬金3級 まじかる?ぽか~ん - Wikipedia
錬金3級 まじかる?ぽか~んとは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2006年。オリジナルテレビアニメ作品。全十二話+DVD特典三話。監督は八谷賢一。アニメーション制作はREMIC。とある理由から人間界で生活することになった魔界のプリンセス四人が、人間の風習に戸惑いながらものんびりとした日常を過ごすシチュエーションコメディー。愛称は「まじぽか」。誰もが認める良作でありながら、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『ひぐらしのなく頃に』と同期の放送だったため、知名度が著しく低いという悲劇的な作品である。

・GA系


 本作は、俗に「GA系」と呼ばれるジャンルに区分されることが多い。ここで言うGAとは、2001年から四期に渡って放送され人気を博したアニメ『ギャラクシーエンジェル』のことだ。基本的に、一話十五分(実質十分)×二セットのショートアニメであり、固定された数名のキャラクターが様々なシチュエーションでコメディーを演じる。一話完結で各回に連続性がないため、ある惑星でシリアスストーリーを演じたと思ったら、次の回では別の惑星でお馬鹿なノリに終始する等、内容が非常にバラエティーに富んでおり、一粒で二度も三度も楽しめる。『ギャラクシーエンジェル』の場合は、そのハチャメチャさがゆえにゲーム版(原作)との大幅な解離を生んだが、開き直ってギャグアニメを突き詰めたことで全くの別物として双方共に評価され、今に至っている。
 GA系に共通して見られる固有の特徴として「投げっ放しオチ」が挙げられる。通常のアニメだと物語にオチが付いた後、それをフォローし、全体を総括する役割を持ったエピローグなり後日談なりが描かれるものだが、GA系の場合は根本的に時間が足りないため、そこに貴重な尺を割く余裕はない。結果、話のオチが付いたところでストーリー自体をぶった切り、そのまま余韻なくCMやED曲に入ることが多い。中には明確なオチがないまま突然終了し、視聴者に「何だそりゃ!」とツッコまれることも。基本的に笑いは受け手の予想を裏切ることで成立するものだから、やや反則気味ではあるが、このパターンは十分にアリである。もっとも、一歩間違えるとただの手抜きと取られかねないので、話の振りだけはしっかりとした計算に基づいて構築されなければならない。そのため、制作は見た目以上に難しいらしく、本作のようなGA系の正当後継者はなかなか出てこなかった。

・キャラクター


 主要キャラクターは魔法使いの「ゆうま」、狼少女の「りる」、吸血鬼の「パキラ」、人造人間の「鉄子」の四人。見ての通り、魔法使い+世界三大モンスターといういわゆる『怪物くん』のフォロワーである。コンセプト的には『怪物王女』等と同じく世界的定番ネタであり、あまり捻りはない。ただ、各キャラクターには幾つかの本作独自の個性を持たせている。例えば、ゆうまは一応主人公ということで、マイペースで天然ボケで魔法も下手というメインヒロインらしい設定になっているが、そこに「逆ギレ」という彼女にしかない絶対的な特徴を加えている。魔法を派手に失敗しておいて、それを批判されるとすぐに開き直って暴れ回るという子供っぽい性格は、他に類を見ない独自性があって面白い。同じように、りるはワイルドな見た目に反して、グループの中では一番の良識派。パキラは吸血鬼らしくお色気担当だが貧乳。鉄子に至っては、人造人間なのに内臓のコンピュータは一昔前のパソコン並みに低スペックである。このように、普通に見えて普通じゃない点が「まじぽか」らしさである。
 また、本作の大きな特徴として、彼女達は自分の欲望に対してどこまでも素直なことが挙げられる。それは食欲や睡眠欲だけではなく性欲、つまり、無類の男好きという点も含まれる。彼女達は年頃のリアルな女性と同様に男性、特にイケメンが大好きであり、常にいい男と巡り会えることを夢見ている。これは八十年代のギャグアニメなら当たり前の光景だが、2006年に放送された深夜アニメとして考えると極めて異例である。なぜなら、萌えアニメのヒロインの恋愛対象は必ず主人公でなければならないからだ。いや、主人公すら不快だ。萌えアニメに男の存在は不要、ましてや、どこの馬の骨とも知らない通りすがりのイケメンなど登場すらして欲しくない。これが視聴者の一般的な感情だが、本作はそういった風潮に真っ向から逆らっている。この反骨精神にはエールを送りたい。もちろん、これはイケメンネタがちゃんとギャグとして成立しているからこそできる芸当であり、勘違いした制作者が生半可な気持ちで手を出すと必ず厳しいしっぺ返しを食らうので注意されたし。

・ケイミィ


 そして、忘れてはならない本作最大の独自要素が「ケイミィ」である。断言するが、この設定を考え出した人は真の天才だ。ケイミィとは、本編開始前などにナレーションを行っている人の名前である。たまに、本編中でも主人公達の天然ボケにツッコミを入れたりしている。なぜ、ただの天の声に名前が付いているのか、クレジットを見て気になる人もいるだろうが、出番はそれほど多くないのでいつしか忘れ去られる。しかし、放送中盤に差し掛かった時、視聴者はある事実に気付き始める。特に、第七話のBパートと第十一話のAパートでその疑惑は確信に変わる。どうやら、主人公達の住まいには彼女達四人の他にもう一人の人物がいるらしい。ただ、画面に映っていないだけで。そう、つまり、ケイミィとは「透明人間」なのである。ナレーションでも天の声でもなく、普通にその場にいて普通にしゃべっているだけなのだ。役割は四人の「お目付け役」で、しかも、DVD特典のED曲の歌詞によると「実は意味なくナイスバディ」らしい。このありそうでなかった人物設定には度肝を抜かされる。アッパレと言うより他にない。なお、CVは東方のアレンジ曲等で御馴染みの歌手ののみこである。

・シチュエーションコメディー


 本作の内容はと言うと、基本的には何の脈絡もないシチュエーションコメディーであり、GA系らしく「何でもあり」がモットーだ。ただ、その物語のパターンは幾つかに分類できる。まずは、街で出会ったイケメンにモーションをかけようとして最終的にはご破算になるパターン。次に、人間界の風習が分からず、カルチャーギャップから何らかの失敗をするパターン。次に、様々なモンスターと未知との遭遇をするオカルティックコメディーなパターン。次に、スーパーDr.K子と名乗る科学者が主人公達の正体を暴こうと暗躍するパターン。そして、最後に地獄へ行ったりロボットアニメのパロディをやったりする分類不能なナンセンスギャグが中心のパターン。いずれも少しHで明るくほのぼのとした雰囲気を作りつつ、各キャラクターの個性を十分に生かした物語作りを行っている。
 中でも最終回の二作品は、そこに爽やかな感動という要素を追加している。鉄子の記憶を再生するためにコンバータを探して回るAパート。子供との約束を守るために物理的な手段で桜の花を咲かそうと努力するBパート。どちらにも共通することは、錬金3級という己のダメさにもめげず、希望を持って前へ進もうとする強い気持ちだ。つまり、本編のコミカルな失敗談に対するカウンターパートという形になっている。言ってみれば、それまで放り投げてきたオチを最終回で回収するようなものだ。
 ちなみに、本作のOPムービーは本編のゆるやかな雰囲気とは全く異なるアダルトタッチのシリアス曲のため、「詐欺OP」などと誹られたこともあったが、そうなっている理由は最終回のAパートで明らかになる。もちろん、後付設定なのであろうが、ケイミィと同じくありそうでなかった会心のネタであり、本作を象徴する物になっている。

・総論


 ノスタルジーさえ感じるような古き良きギャグアニメである。タイトルに偽りなく、誰もがぽか~んとした気持ちで楽しめるだろう。また、キャスティングも見事で、パキラ役の平野綾などはハルヒ以上にハマり役だ。なるほど、未だに二期の制作が熱望されていることも十分に頷ける。

星:☆☆☆☆☆☆☆(6個)
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テーマ: アニメレビュー -  ジャンル: アニメ・コミック
by animentary  at 22:34 |  ☆☆☆☆☆☆ |   |   |  page top ↑
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