『コードギアス 反逆のルルーシュR2』

経験不足。

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コードギアス 反逆のルルーシュ - Wikipedia
コードギアス 反逆のルルーシュR2とは - ニコニコ大百科

・はじめに


 2008年。テレビアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の続編作品。全二十五話。監督は谷口悟朗。アニメーション制作はサンライズ。二期を始めるに当たって、放送時間を日曜日の夕方に変更したのだが、深夜放送だった頃とほとんど変わらない視聴率の低さに業界が震撼した。ただし、最終回だけは高く、後番組である『機動戦士ガンダム00セカンドシーズン』の最終回と全く同じ数字を弾き出すという面白い現象が起こった。

・ロロとオレンジ


 先に結論を書くと、二期の作品としての質は壊滅的だ。シナリオが破綻していることもそうだが、何より単純につまらないという致命的な欠点がある。いろいろと理由はあるのだが、その壊れっぷりを最も的確に体現しているのがこの二人であろう。
 ロロは二期から登場した新キャラクターである。帝国側の人間で、記憶を消され軟禁された主人公の弟役を演じていたが、覚醒後の主人公に説得されて仲間になる。なよっとした頼り気のない優男で、明らかにBL的な人気を狙って設定されたキャラクターであるが、肝心の女性視聴者からの評価が芳しくなく、その声を受けてか、やがて画面からも姿を消す。そして、存在すら忘れ去られる寸前の第十九話に突然復活したと思うと、主人公をかばって戦死するという離れ業を演じてみせた。一体、彼は何のために登場したのだろうか。
 一方、オレンジとは元帝国軍人のジェレミア卿の通称である。一期でのある事件をきっかけにオレンジと呼ばれるようになり、それが視聴者にもウケて本作屈指のネタキャラとなっていた。その声を受けてか、二期では「ギアスキャンセラー」という必殺技を携えて華々しく再登場することになる。ところが、彼が活躍したのは初登場時だけで、ギアスキャンセラーもろくに使われることなく、気付けば脇役に押しやられていた。一体、彼は何のために登場したのだろうか。
 この二人に共通することは、視聴者に媚びるためにとりあえず出してみたキャラクターを脚本家がもてあまし、結局は使い捨てにするしかなかったという点である。要は完全なる企画の失敗だ。本作は、こういった企画段階での初歩的な不具合がシナリオにもキャラクターにも数多く見られる。一期は出す企画出す企画全てが大当たりしたため、その成功体験にあぐらをかいていたのだろうか。

・百万のキセキ


 記憶を取り戻した主人公=ゼロは、レジスタンスを再結集して帝国に立ち向かう。帝国側は、そのゼロを日本から追放することで事態の収拾を図ろうとする。しかし、独立を願う百万人の日本人がゼロの扮装をして彼らの前に現われる。ゼロとは仮面の男の総称であり、その素顔は誰にも分からない。そのため、百万人全員を追放するしかなく、見事に日本人は独立を果す。
 この展開は何なのだろう。画的にも間抜けだし、「どうやって、それだけの数の衣装を用意したんだ?」という当然過ぎるツッコミも入る。ただ、それ以上に問題なのは、明らかに目的を間違えているということである。第一期の時点での目標は、日本人の独立ではなく「日本国の独立」だったはずだ。いや、もしかしたら、劇中で明言されていないだけで、本当は日本人が独立できれば日本国などどうでもいいという話だったのかもしれない。しかし、それでは絶対に日本人の視聴者は納得しない。国があっての国民である。国民だけが独立するということは国を棄てるということだ。それは、これまでゼロの戦いを応援してきた視聴者を裏切る行為であり、失望せざるを得ない。
 ちなみに、これは第八話である。残りたったの十七話で中華連邦やEUと戦い、神聖ブリタニア帝国と戦い、C.C.の謎を解き明かさなくてはならない。どんな楽観主義者でも、尺が足りないことぐらい分かるだろう。常識的に考えて、日本人の独立は一期の間に済ますべきだったのではないだろうか。

・迷走


 以後、本作は面白いぐらいに迷走する。基本的には中華連邦&EUと結託し、超合集国を結成して神聖ブリタニア帝国と全面対決するという流れなのだが、その最中、死んだはずの母親が生き返り、妹の目まで見えるようになり、最終的には二人共が主人公の敵になる。いわゆる価値観の逆転だが、そんな大仕掛けを使わなければならないほどよくできた物語ではない。足場崩しやビデオによる時間差トリックといった一度使ったネタを何度も使い回すなど、アイデアの枯渇が痛々しい。さらにはラスボスの目的が人類補完計画で、戦局を左右する新型超兵器を奪い合うなど、何かのパロディーギャグかと思わなければ見ていられないような恥ずかしい流れになる。
 こうなった一番の原因は制作者の経験不足だろう。元々、「弱者が強者にゲリラ戦で立ち向かう」「超能力で形勢逆転する」といった変化球で修羅場を潜り抜けてきた作品なのに、物語が進行して国同士が激突する「戦争」に移行すると、それらの奇策が使えず真っ当なロボットアニメにならざるを得なくなる。すると、ロボットアニメ制作の絶対的な経験不足が露呈して、ひどく散漫な物しか作れなくなってしまうのである。特に、構成担当の大河内一楼は『プラネテス』や『OVERMANキングゲイナー』でもそうであったように、基本的に目の前の事象しか見ておらず、全体的なストーリーの統括に難がある人だ。今回も見事にその悪癖が出てしまったらしい。
 また、迷走した原因の一つに、多過ぎる登場人物を整理できていないことが挙げられる。二期になって人物が倍増したにも係わらず、主役級で亡くなったのは上記のロロとクラスメイトのシャーリーの二人だけ。死んだと思った人までもがことごとく生きており、舞台上に役者が溢れ返る。すると、各人の出番はほんの数秒ずつ、下手すると「これ、誰だっけ?」というレベルにまで落ちてしまう。せっかくのキャラクターを失いたくないのは分かるが、話を円滑に進行させるためには、不要人員を順番にリストラして行かなければならないのだ。これもロボットアニメ制作の経験不足から来るものだろう。

・最終回


 上記の問題点等により本作は各所から批判を浴びたが、打って変わって最終回だけは高い評価を受けている。感動したという声が多く、終わり良ければ全て良しの精神で手のひら返ししている者も多い。第二十二話で皇帝に即位した主人公のルルーシュは、ライバルのスザクを配下に従えて歯向かう者を全て駆逐し、実質的に世界を支配する。そして、先代皇帝をも超えるような圧政を敷き、暴君としてその名を轟かせる。しかし、それは世界を一つにまとめるため、あえて憎まれ役を演じていたのだった。その後、パレードを行うルルーシュの前にゼロの仮面を付けたスザクが現われ、彼を討つ。ルルーシュの命を賭けた行動により、世界に真の平和が訪れる。
 途中で展開が読めるとは言え、最終回で主人公が死亡するのだからインパクトは絶大である。たとえ、「主人公の死」が展開に困った制作者が追い込まれて最後に手を出す常套手段だとしても。ただ、問題がある。と言うのも、ルルーシュは基本的に自分本位な人間だ。自分自身と妹のためだけに日本を独立させようとした男である。それがシャーリーが死んだからと言って、自分の命を世界平和のために投げ出そうとするだろうか? 彼の性格なら、もっと利口な解決策を選びそうだが。そのため、「実はまだ彼は生きている」という妄想エンディングの方が物語的にしっくりくる。感動は台無しになるが。

・総論


 ほとんどクソアニメと言っていいぐらい崩壊した作品であるが、最終回でちゃんと話をまとめ上げているので、星1つおまけする。それにしても、大河内一楼はこれで通算三度目のやらかしである。しかも、今回は多くのファンを抱えた人気アニメ。彼の今後がいろいろと心配になる。

星:☆(1個)
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テーマ: アニメレビュー -  ジャンル: アニメ・コミック
by animentary  at 22:28 |   |   |   |  page top ↑
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